【IVS 2009 Spring】mixiアプリに関する記事チェック:プラットフォームとしてのFacebookとの比較

2009年05月22日(金)
By Naoyuki Yamada

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Infinity Ventures Summit 2009 Spring

2009年5月21日と22日の2日間、札幌でInfinity Ventures Summitというカンファレンスが開かれています。ここで21日にミクシィ社長の笠原さんが講演を行ったようで、その記事が各所にアップされています。また、質疑応答のやりとりも記事になっていますので、その中でポイントを振り返りながら、mixiアプリのプラットフォームとしての性格を、主にFacebookと比較しながら考えてみたいと思います。

まず、miixとFacebookの基礎的な数字を挙げておきます。基準が同じではないので参考程度にみてください。

(2009/06/02ユーザー数の表現について少し修正しました)

【mixi】
ユーザー数:1683万人(登録数)
うち51%が3日に一度以上ログイン
ユーザー1人あたりのマイミク:25人
トラフィック:月間154億PV(モバイル111億、PC42億)
売上:約130億円

【Facebook】
ユーザー数:2億人(アクティブユーザー数)
うち50%が1日に一度以上ログイン
ユーザー1人あたりのフレンド:120人
トラフィック:月間900億PV
売上:約500億円

デベロッパーの収益化について

笠原さんは質疑応答の中で、「ミクシィの売り上げは現在、120億程度だがそれくらいの市場は間違いなくできるだろう」と述べています。一方、Facebookでは先日、アプリデベロッパーの売上がFacebook本体の売上を上回ったとのニュースがありました(ソース)ので、十分あり得る数値といえます。こうした事実を考えると、mixiアプリ単体での年間の市場規模は120億円程度にはなると予想できますが、mixiはPVがモバイルに偏っている点に注意する必要があります。

1つポイントになるのは、アプリデベロッパーの収益化の方法です。Facebookは本体がペイメントAPIが存在しないため(開発中)、デベロッパーはPayPalなどの外部の課金システムを使っています。また、広告はアドネットワークが広く利用されています。

mixiは本体がペイメントAPIを提供予定です。取り分はmixi:デベロッパーで2:8とされています。また、「mixiオフィシャル・アドプログラム」が用意されており、mixiがデベロッパーに対して広告収入を1PVあたり0.01円から支払う仕組みも用意されています。また、キャンバスページに他の広告も表示可能としています(ソース)。

日本ではPayPal等の外部の少額決済サービスが発展していないため、ペイメントAPIにかかる期待は大きいといえます。また、日本では有力なアドネットワークがあまり存在しないため、中堅以下のアプリデベロッパーはmixiオフィシャル・アドプログラムに依存することになるでしょう。mixiアプリ用のアドネットワークの発展なども期待されるところです。

IVS Spring 2009開催–ミクシィ笠原氏ソーシャルアプリを語る:ニュース – CNET Japan

アプリケーションの公認、ディレクトリのみせかた

作ったアプリケーションがどのようにユーザーに認知され、伝播していくかというプロセスとその仕組みづくりも重要です。

Facebookは最近、アプリケーションディレクトリを大幅に刷新しました。以前は人気のアプリランキングがトップに押し出されていたものが、「ハイライト」「おすすめ」「友達の利用状況」を押し出す形に大幅に変更されました。人気のアプリにユーザーが偏りがちな傾向を受けてのものと思われ、ユーザーの分散化が進むでしょう。また「認定済み」アプリの表示を開始。審査済みの公認アプリをフィルタリングして表示できるようにしています。

mixiも同様のアプリケーションディレクトリを用意すると考えられます。アプリの伝播については笠原さんは次のように述べています。

笠原氏:基本的には、自分のマイミクの間で何が流行っているのかが一番重要だ。友人が使っていなければ、ユーザーはアプリを使い続けるのが困難。自分の周りで旬なアプリが何かがわかるのが大事で、友達が使っていることがわかるようなインターフェイスを作っていく予定だ。

流行っているものを見てそれを使うという流れもさることながら、Facebookでよく見かけるのはしつこいほどの「フレンドを招待」です。これが実際ユーザー数の増大につながっていると考えられ、mixiがマイミクに対するアプリ招待機能をどのように実装するかも注目です。

また、Facebookではユーザー一人あたりのフレンドが120人いるのに対して、mixiではユーザー一人あたりのマイミクが25人であることから、Facebookとは違ったアプリの伝播の仕方になってくるでしょう。

インタフェースについては、Facebookは自分+フレンドのライフストリーミング情報がサービスの中心となっており、フレンドのアプリの利用状況などが自然と目に入るようになっています。ウィンドウ右下の「お知らせ」のコーナーもアプリのリマインドを促すのに便利です。

対してmixiは「日記」「コミュニティ」「マイミクシィ更新情報」が分かれて表示されている現状から、インタフェースを大きく改造せざるを得ないでしょう。そのときにユーザーにどのように受け入れられるかが注目されます。

アプリの認定についてはmixiはいまのところ「ネガティブチェック」のみをするとしており、「公認」「審査済み」といった分類はされない模様です。

訂正:「インディーズ」「公認」(名称検討中)に分類されるみたいです。ただインディーズはもともとディレクトリに登録されないようなので、登録=公認に近いと思います。

mixiオープン化でモバゲー、グリーとのモバイルSNS戦争の行く末は?:ニュース – CNET Japan

”ゲーム”vs”アプリ” ゲームプラットフォームになる?

現在Facebookで人気のアプリトップ10のうち、7つがゲームです。「ソーシャルアプリとは何か」という定義の問題になってきますが、筆者はmixiでも人気のアプリは主にゲームになるのではと考えています。というより、非ゲーム的なアプリも人気を集めるでしょうが、没入度の高いゲームと比べたら利用時間と収益性で大きく差がつくであろうからです。

いま、試験的にアップされているmixiアプリの数は約400であるとされています。今後、どれくらいの数のどんなデベロッパーがどれくらいmixiアプリを開発することになるのかまだ見えてきませんが、ゲーム系のデベロッパーの動向は1つの鍵を握っていると思います。記事中ではロックユーのジア氏による興味深い発言があります。

「日本の大手ゲームソフトウエア開発企業はソーシャル要素を持ち合わせていない。むしろ、韓国や中国などのMMO(多人数同時参加型)ゲームを開発している企業の方が脅威。ソーシャルアプリケーションのことも、どうやって安く作るのかも知っている」

オープンなプラットフォームであることは、国境もまた存在しないことを意味します。ユーザーはほぼ国内だけで完結しても、市場は国内だけで完結するとは思えないので、Facebook同様、mixiにも海外のゲームデベロッパーの参入が多くあるでしょう。日本のパブリッシャーとの提携でもビジネスチャンスがあるかもしれません。

ただし、mixiプラットフォームはまだ仕様が固まりきれていない部分もあるようです。Facebookが2007年5月にプラットフォームを立ち上げて以来、ソーシャルアプリ開発が成熟してくるまでに2年程度かかったのと同様、mixiがプラットフォームとして成熟した姿を見せてくるには、OpenSocial陣営だという事実を割り引いても1年程度はかかるのではないかと思います。

[IVSリポート]「ネットやiモード登場時と同じく今は大きなチャンスの時」:ITpro

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