Come2PlayやOpenFeintがめざすソーシャルゲームプラットフォームの新世界

2009年06月30日(火)
By Naoyuki Yamada

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先週行われたSocial Gaming Summit 2009。私は行けなかったのですが、Inside FacebookのJustin Smithが講演に使ったスライド資料を公開しており、興味深く読んでいました。

その資料に書いてある内容は、すでによく知っていることも多かったのですが、1つだけ、これまでほとんど注目していなかった新ジャンルがあるのを知りました。

下記のスライドの17枚目です。

Third Party Cross-Platform SDKs」(サードパーティによるクロスプラットフォームSDK)。今回は、この最近成長しつつあるソーシャルゲームの新ジャンルについて取り上げます。

Facebookやmixiのプラットフォーム戦略が自ドメインに集客する中央集中型だとすれば、こちらは分権型・P2P型のソーシャルゲームのためのプラットフォームです。上記のスライドの例では「Come2Play」「J2Play」「OpenFeint」「Scoreloop」「Gameyola」の5つが挙げられています。

各社によってやってることは微妙に異なるのですが、これらはデベロッパーへAPI・SDKを提供し、個々のソーシャルゲームがベースとなるユーザーコミュニティを共有し、相互にアクセスする手段を提供します。

これは日本では「ソーシャルゲームプラットフォーム」とか「コミュニティエンジン」などと呼べそうなのですが、なにぶんジャンル的に新しいので、統一された名前は特に無いようです。

もしかしたらこうしたサービスは、プラットフォームうんぬんというよりもアプリケーション開発のモジュール化という観点から見たほうがよいのかもしれません。アドネットワークなどと近い位置づけかもしれません。ともあれ漠然とした概念について語るより、実例をみたほうが早いでしょう。Come2PlayとOpenFeintの2つを詳しくみてみます。

ウェブ上のFlashゲーム用プラットフォーム:Come2Play

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Come2Play – Games Are Networks

Come2Play: ソーシャルゲーミングネットワーク界の「Ning」

Come2Play、カジュアルゲームのマルチプレーヤー専用APIをオープンソースで公開

Come2Playはデベロッパーとパブリッシャーをつなぐ、ソーシャルゲームのネットワークです。TechCrunchが「ソーシャルゲーミングネットワークにおけるNingのようなもの」だと例えているとおり、個々のゲームを束ねてゲームポータルをつくることができます。

Ningでたとえるならば、それぞれのパブリッシャーが各ネットワーク、それぞれのゲームが各ユーザーといったところです。Come2Playは自らを「ホワイトレーベルのソーシャルゲーミングプラットフォーム」と称しており、APIを通してデベロッパーとパブリッシャーをつなぐインフラ提供屋さんの役割を担おうとしています。

つまり、パブリッシャーは自社でゲームを開発することなくハンゲームとかモバゲーのようなサービスを作ることができます(と言ってしまって語弊がないといいのですが)。デベロッパーにとっては作ったゲームをクロスプラットフォーム展開することができます。

デベロッパーとパブリッシャーにとっては主に次のようなメリットがあります。

・デベロッパーが作ったゲームを広めることを手助けする
デベロッパーがやるべきことは、ゲームを作るだけです。あとはCome2Playと、そのパートナーであるパブリッシャーがそのゲームを広めて収益化してくれます。

・パブリッシャーはCome2Playとパートナーを結んでゲームポータルを運営する
パブリッシャーはCome2Playを使ってゲームを作られたゲームの中から好きなものを選んで、自社のポータルでゲームサービスを提供できます。また、Come2Playから提供されるゲームを自社ブランド化して運営することもできます。もとがホワイトレーベルだからこそ可能なことです。

ゲームを遊ぶプレーヤーは、さまざまな方法でゲームを遊ぶことができます。パブリッシャーが提供するポータル(Channelと呼ばれています)で遊ぶこともできるし、ウィジェットとしてiGoogleやSNS・ウェブサイトに貼り付けることもできます。ゲームは全てFlashでできています。

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例えばこれはArcade-Areaというパブリッシャーです。このサイトはCome2Playのゲームとチャンネルの機能をつかってサイト内でマルチプレイヤーゲームサービスを提供しています。

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Arcade-Areaのサイト内でゲームロビー機能が提供され、マルチプレイヤーゲーム(ソーシャルゲーム)を遊ぶことができます。ここにアクセスできるユーザーはArcade-Areaサイト内の会員に限ることもできますし、このゲームを遊んでいる全チャンネルからのユーザーを受け入れることもできます。それはパブリッシャーの設定次第です。つまり、Facebookアプリとしてこのチェスゲームをやっているユーザーと、Arcade-Areaサイト内でこのチェスゲームをやっているユーザーが対戦することもできるわけです。

Come2Playのパブリッシャー向け資料を下記に貼っておきます。

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上図で、”Facebook”というチャンネルが中央下部にあります。Come2Playにとっては、Facebookは多く存在するチャンネルの1つにすぎません。MySpace・Orkutなどの他のSNSも同様です。

ただその代わり、Come2PlayがFacebookで展開しているアプリは数百人程度のアクティブしかいないことが多く、Facebookプラットフォームにおいては成功しているとはいえません。そこは注力する分野の違いでしょうか。

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上図は囲碁ゲームをiGoogleに追加しようとしている例です。この囲碁ゲームはFacebookアプリとしても存在しますし、他のチャンネルでも展開しています。Come2Playは、こうしてクロスプラットフォーム展開するこのゲームに対してマルチプレイヤー機能のインフラを提供しているのです。

iPhone用プラットフォーム:OpenFeint

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Open Feint 2.0: Social Discovery

Aurora Feint、iPhone用ソーシャルゲームプラットフォームを改良してOpenFeint 2.0を発表

MOONGIFT: » iPhoneアプリケーションにソーシャル機能を追加する「OpenFeint」:オープンソースを毎日紹介

OpenFeintはiPhoneに特化したソーシャルゲームのプラットフォームです。もともとはAurora FeintというぷよぷよのようなパズルゲームをファンタジーRPG化したゲームを提供していたのですが、プラットフォーム化し、他の多くのゲームに対してソーシャル機能を提供するようになりました。いまでは100以上のiPhoneゲームがOpenFeintを利用しています。

iChatterというiPhoneアプリを例に挙げます。ここでは「Feint」というチャットルームを使うことができます。

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ログインにはFacebookかTwitterが利用できます。

IMG_0199.PNG

チャットルームがたくさんあります。

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その中の1つに入ってみました。()内の青文字で分かるように、他のiPhoneアプリを使っているユーザーたちと同じルームでチャットができます。

IMG_0201.PNG

次に本家のAurora Feintというゲーム。画面一番下に細く一行、チャットが出ていることに注目してください。

IMG_0204.PNG  

この部分をダブルタップすると、チャットウインドウが現れ、いちいちチャットルームに行かずにゲームをプレイ中でもチャットに加わることができます。

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OpenFeintが提供する機能については、公式サイトの下図が分かりやすいです。

Open Feint 2.0: Social Discovery

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(1)Social Discovery
FacebookやTwitter、OpenFeint内の友人が何をプレイしているか分かります。

(2)One Touch iPurchase
iPhone3.0のアプリ内課金を利用して、アプリ内から直接ゲームの購入ができるようです。

(3)Game Services
ランキングや褒賞機能を提供します。

(4)Listen to Your Fans
ゲーム内のチャットルームを利用して、デベロッパーとユーザーが直接交流することができます。

こうなると個々のゲームアプリにとってはiPhone+OpenFeintという重層的なプラットフォーム階層ができることになります。そこでさらにOpenFeintにログインするのはFacebookかTwitterアカウントで、という・・・こんがらがってきました。

これらは完全に新しいジャンルなのか?

Come2PlayやOpenFeintなどのサービスは、確かに新時代を感じさせる新しいコンセプトを多く含んでいます。しかし、これまで同様のサービスは無かったのでしょうか? 

もうジャンル分けが不可能なくらいに周辺領域のサービスと境界がつけづらくなってきましたが、私の知っている範囲で同様のコンセプトのあるサービスを挙げ、「ソーシャルゲーム」の今後の展開のヒントとしたいと思います。共通項は、「ユーザーコミュニティをベースにしていること」です。

下記のリストをみると、これまでゲームがソーシャルではなかったかというとそんなことはなく、以前からゲームをソーシャルに楽しむ仕組みは多くありました。SNSやハードウェアと一体化することで利便性が上がっているのは確かですが。

するとおそらく、Come2Playなどのいま生まれてきている新しいサービスの価値の本質は、「オープンであり参入障壁がないこと」なのかなと思います。

ゲームロビーアプリケーションタイプ:

GameSpy Arcade:Windows用のゲームサーバーブラウザソフトウェア。10年ほど前はこのソフト経由でマルチプレイをよくやったものですが、いまも流行ってるんでしょうか。日本だとTwimnetなどというサービスも過去にありました。

Xbox Live: Xboxゲーマー用のオンラインコミュニティ。XboxはXbox Liveを搭載することで、iPhoneとOpenFeint両方の機能を提供しているといえます。

Steam:Half-Lifeなどで有名なValve社が提供するオンラインゲームの販売チャネル&コミュニティサービスです。ゲームのダウンロード販売がメインのようなイメージですが、マルチプレイのホストサーバーを探す機能やユーザーフォーラムなどがあります。

Rockstar Games Social Club:Grand Theft Autoなどを出しているRockstar Games社が(おそらく)ユーザーの囲い込みを意図して提供しているコミュニティサービス。

ウェブポータルタイプ:

Yahoo!ゲーム:説明不要。Yahoo!が運営するゲームポータル。

ハンゲーム:日本最大のウェブゲームポータルサイト。韓国が発祥。2000年9月から日本での運営を開始しています。2007年時点で日本での登録ユーザー数が2000万人

ShockWave(終了) :ハンゲームなどと同タイプと言えますが、生き残り競争が激しく、サービス閉鎖となりました。

ミドルウェアタイプ:

Multiverse:バーチャルワールドプラットフォーム&ミドルウェア。Multiverseを利用しての開発は無料で、収益をあげたら10%をMultiverseとシェアするというビジネスモデル。

コミュニティエンジン:日本の企業です。詳しくはよく知らないのですが、近いコンセプトを持っていると思います。

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